作品を海外へ無事に発送するために作家が知っておいた方が良いこと。

みなさま、こんにちは♪最近バタバタしていて少し投稿の間が空いてしまいました。ごめんなさい。前回は作品を海外に発送するまでがものすごく大変だったので、その詳細を次回お話しますねという結びで終わっていましたので、今回はその続きを書いていきたいと思います。お話の内容はどちらかというと購入されるお客様よりも私と同じ立場の作り手の方のお役に立てればと思って情報をお送りします。というのも、私自身初めての海外発送で分からないことだらけにも関わらずネットから有益な生きた情報が得られなかったからです。ハンドメイドの販売サイトがこれだけあるのに検索にはひっかかってこないんですよね・・・もしかして調べ方が悪かった?w

1:無事に届くのが当たり前なのは日本だけ。

まず、今回の海外発送でお世話になったのが信頼してやまない「クロネコヤマト」様なのでここでシェアーする情報は「クロネコヤマト」様で通用するお話になります。多分ほかの運輸会社様もそんなに大差ないと思いますがご念頭においてお読みください。私が外国への発送にあたり一番心配したのは「紛失」でした。少しの破損なら「修理」という方法があります。しかし作品そのものが無くなった場合、もう一度1から作り直ししなければなりません。気の遠くなる絶望感、同じ情熱で制作できるでしょうか?かといって楽しみに待っていただいているお客様にお代をご返金すればそれでよいという問題ではないというのも事実。わが子同然の作品がどこに行ってしまったのか分からない、もしかしたらゴミのように扱われてしまったのかもと想像するだけで胸が締め付けられます。でもネットで調べてみたら荷物や手紙は届くのが当たり前という「日本」は世界からみると非常に稀有な国だということに気が付きます。わが子同然の作品を信じて海外への旅に出すしかないのだと気が付いて愕然としたものです。「きっと無事に届く!大丈夫よ!」と鼓舞してクロネコヤマトさんに海外発送を専用電話で予約、集荷の日をドキドキしながら待つことになりました。                                            ※海外発送は事前の集荷予約が必要です。クロネコヤマト様のHPに案内があるのでそちらにかけてください。その際いっしょに荷物の通関に必要なインボイス(荷の詳細を書く)紙を請求してください。私はポストに投函していただいて受け取りました。

2:インボイスの書き方と注意点

集荷の日までにインボイスの記入を終えておかなければならないので、記入例とにらめっこしながら慎重に記入していきました。間違いを訂正するときは二重線で消すのではなく、つづりになっているすべての用紙で修正テープで消して上から書き直しになるので注意が必要です。インボイス用紙の記入例はこのような感じで英語圏で通用する書式で記入します。

送り状に書くことは普段書く送り状と大差ありません。上記の送り状で特に記入に気を付けるのは6番と7番だと思います。6番は箱の中身を正確に端的に書きます。私の場合は手で作られた繊細な鳥の作品ということで「Crafts、Bird Doll」と記入しました。海外発送は集荷ドライバーの方に中身を確認してもらいます。その時、送り状の6番の内容と中身が相違ありませんという「サイン」をドライバーさんからもらいます。確認が済んでから初めて荷箱を閉じることができます。当日はドライバーさんが待っていてくださる間に急いで封をしました。

※私はドライバーさんが確認しやすいように中箱はアクリルのBOXを使いました。万一、米国の通関手続きのX線検査で引っかかった時にこれなら最小限の開封で済むと思います。

ハンドメイド作品を海外に送る ハンドメイド作品を梱包

次に重要なのが7番の金額です。これは荷物に何か事故があった時の保証額の参考にされるそうです。気軽なプレゼントなど無償で良い場合は金額を書く必要はありません。通関では6番の品物の一般的価値と7番の価格の相違があまりにも大きい場合(安価な品名なのに100万円など)通関で開封されたり、本当に100万円なのか証拠の提示(領収証)などを求められることがあるそうです。私は最悪紛失した場合は保険金を受け取って作り直そうと思っていましたが、集荷当日考えが甘いことが分かりました。保険金が申請額通りに満額支払われる場合はほとんどなく、流通している商品ならば定価(価値)を証明することは可能ですが、美術品やハンドメイド作品など1点ものはその価格(価値)を客観的に証明することが難しいそうです。使える書類としては作品のお代金の銀行の振り込み記録と、普段からその価格帯で販売しているという過去の販売記録も有効だそうです。一生懸命丹精込めて作っても、その手間暇や価値を「作品に興味のない人達に分かってもらうのはハードルが高いのだと痛感しました。非常に高価な美術品は定価がないようなものなので発送の際は「それ相応の」保険を他でかけているのでしょうね。

次に書類下部の説明に移ります。インボイスはすべて英語での記入となります。ここは箱の中身の品名とHSコード(国際貿易において、商品の名称と分類を世界的に統一するために定められた、6桁のコード番号)と原産国名、品数と価格を記入します。8番の品名は上段の送り状で記入した品名と共におもな材質などを追記します。ここの材料と9番のHSコードは関連があるので注意が必要です。HSコード表はネットで検索するとすぐにヒットしますので、コード表から自分の作品に合致しているものを記入します。この合致が中々難しくて既製品か工業製品でもないかぎり無理なんじゃないかと思いました。ハンドメイド作品は様々な材料を使用していると思います。ですが主な材料以外は書かない方が無難だと思います。(沢山の材料名を書くとコードと一致が難しくなる)私の場合は作品の50%以上を占めるものから順にWool,Alpaca,viscoseと記入しました。作品には非常に高価な絨毛、獣毛も使用していますが、種類が多いこと、それぞれ少量を様々な部位に使用しているので上位の3種類のみにとどめました。ちなみに8番の内容でお客様(受け取り手)にかかる関税率が決まります。10番の原産国名は文字通り材料の原産国です。この欄は重要だそうで、私は今回アメリカに発送しましたが、アメリカの通関手続きで10番の欄に「CHAINA」と記入されていると手続きに非常に時間がかかるか、通らないそうです。国によって輸入できないものが変わるので注意が必要です。

3:到着まで何日かかるか?

わが子のように大切な「ポゴちゃんフィギュア」が私の手を離れてから毎日がドキドキで頻繁にネットで追跡していました。今では笑い話ですが、クロネコヤマト様からは通関で問題があれば成田から電話があると思います、と言われていたので携帯が鳴ると「ドキっ!」と飛び上がっていました、笑。ネット上ではどのくらいの日数がかかるか書いてありますが、内容がおおざっぱ過ぎて、ほとんど役に立たなかったので今回の発送の道程をシェアーさせていただきます。お客様のお住まいの州が分からないように大事な部分が黒塗りにしてあります。

上の表は成田に向かう東京の営業所からの道程になっています。クロネコヤマト様の集荷は5月7日でしたので東京の我が家から成田空港に運ばれるまで2日要しています。成田の通関手続きからアンカレッジの通関完了まで時差の関係もありますが、同日つまり日本時間の翌日には完了しています。書類に不信な点や未記入が無かったこと、日本からの荷物だったことも通関がスムーズだった理由のひとつではないかなと思います。黒塗りの部分はお客様の州のお住まいの街に入ってからの動きになります。ここでかなりの日数がかかっていました。作業店を5か所も経由しています。日本の規模だと東京成田に付いたら我が家までせいぜい2か所の営業所を経由するくらいだと思うので、アメリカがいかに広くて人口も多い(荷物も多い)ということですね。お客様から「無事に受け取りました!」とメールをいただいた時は思わず涙がこぼれました。本当に長旅でした、無事に送り届けてくださった皆様に心から感謝を申し上げます。

4:まとめ

ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました!ここでお話したことはネットで出所の確かなHPを調べて分かったことの他、自宅最寄りのクロネコヤマト営業所の副所長様から海外発送について詳しくお話をお伺いした内容を記載しています。実は今回の海外発送、1回はお断りされました。慌てた私が何度もお願いしたところ集荷ドライバー様が副所長様と直接電話をつないで下さいましたので貴重なお話を聞くことが出来ました。クロネコ様の約款にも書いてあるそうですが、そもそもハンドメイド作品などの1点ものは受付できないそうで、理由は既製品と違って同じ品物で賠償が出来ないからだそうです。今まで100回以上国内で作品を普通に無事故で発送していたので驚きました。いわく日本国内での荷物の扱いには責任が持てるので有償でなければ1点ものの作品も送れるが、海外の荷物の扱いには責任が持てないので引き受けできない、とのことでした。紛失についてはどうですか?とお伺いしたところ「運輸会社として紛失を前提として荷物をお預かりすることはありません。」はっきり仰っておられました。クロネコヤマト様の企業理念の高さが伺えました。副所長様とは30分以上もお電話でやり取りをさせていただき「破損しないような梱包をしています。荷物が投げられても破損しないようにしてあります」と申し上げて何とか受けていただく事が出来ました。引き受けてくださった副所長様とつないで下さったドライバー様には本当に感謝の言葉もございません。

最後に。自分の作品が言語を超え海外の方に魅力が伝わると嬉しいですよね♪もっと気軽に安心して海外に発送することができる日が来ることを願っています。私と同じように初めての海外発送で困っている方にこのブログがお役に立ちますように。

アメリカに旅立った「イエスズメのフィギュア、ポゴちゃん」

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